アンコモンセラピー

アンコモンセラピー―ミルトン・エリクソンのひらいた世界
アンコモンセラピー―ミルトン・エリクソンのひらいた世界ジェイ ヘイリー Jay Haley

二瓶社 2000-12
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あくどいことを考えた。そうか、Facebookで「学習塾」を開けば良いのか。通信教育なんて昔からある。家庭教師だって昔からいる。でも今はインターネットの時代だ。わざわざ赤ペンで採点する必要などない。
何を考えているかと言えば、不登校の子の学力保証。学校に行けないだけで、生活に必要となる知識の教育が受けられなくなるとは理不尽だ。どうでもいい「受験スキル」の部分を省くとしても、「読み書きソロバン」で示される必須学力はある。それを「学校に来てくれれば、勉強の保証はします」な教育委員会に任せていたら、後で困るのはこの「日本社会」。不登校を「怠学」とでも思ってるのか。学校に行くとイジメを受け、命を脅かされるから行けない。むしろ、自然な反応じゃないか。日本国憲法を読めよ。子どもには「教育を受ける権利」がある。それは、子どもも「国民」という主権者なのだから、当然である。親の顔色ばかり見るなよ。子どもを見ろよ。何ともできないなら、せめて勉強は教えろ。
まあ、「社会が悪い」と言ってても埒は開かない。「社会が悪い」なんてことは、人類が誕生してからずっとあったことだろうし。それより、ジェイ・ヘイリーが「目の前の困っている人に、社会が良くなるまで苦しんでいてください、とは言えないよ」と嘆いたとおり。セラピストには、目の前にクライエントがいる。そして、いま出来ることの最善を組み立てていくしかない。
家庭教師型アウトリーチで、まず子どもと親しくなる方法をやっているものの、実際に顔を合わせたり会話したりできるまでに月日が掛かるのよね。「他者に対する信頼」の回復が先決事項だから、それはそれで良いとして、週一回くらいでは「学力」まで行き着けない。それならそれは、別に任せれば良い。「ネット学習塾」。あるにはあるんだけど、足元みて金取ってるからな。Facebookを利用して、実費負担くらいで経営できないかな。


アンコモンセラピー」は、戦略的心理療法の基本。あらゆるシステム療法の源流と言える古典。不登校にしても、親や学校が悪いわけではない。親や学校の「常識」自体で救われている子どもたちも、たぶん7割はいる。ただ、残りの3割は「常識」というセイフティネットから抜け落ちる。なのに、その子たちにも「常識」で対処しようとする。悪循環で、話がこじれる。それが「不登校」だ。
こじれてから相談に来るので、カウンセラーは「親が悪い」「学校が悪い」と言う。でもそれは、もとの7割を知らないカウンセラーの無知。だから、誰が悪いかなんてどうでもいい。要は「常識とは異なるアプローチ」をすること。読み終えれば、間違いなく「力」が付く。分厚い本なので、まず興味のある章だけ精読すると良いよ。