危機介入技法としてのディブリーフィング

緊急事態ストレス・PTSD対応マニュアル―危機介入技法としてのディブリーフィング
緊急事態ストレス・PTSD対応マニュアル―危機介入技法としてのディブリーフィングジェフリー・T. ミッチェル ジョージ・S. エヴァリー Jeffrey T. Mitchell

金剛出版 2002-11
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臨床心理士会は「被害者支援」と名乗って現場に乗り込んで「心のケア」をやりたがる。でも、ノウハウを知らないから、誰かれとなく捕まえて話を聞くだけ。変な絵を描かせるだけ。現場の足手まといになるだけ。
そもそも被害を受けてから72時間以内にカウンセリングを受けたほうが良いとされる根拠はデブリーフィング。きちんとマニュアルのある技法です。もとはベトナム戦争時、敵地に乗り込んでから帰還するまでの時間が、72時間以内の兵士とそれを超える兵士との間で、後にPTSD(後外傷性ストレス障害)を発生する率に格段の差があったことに由来する。多くの兵士がPTSDで悪夢を見たり、極度の恐怖症になって、社会適応に困難を生じるようになった。帰還して上官に戦況報告することをデブリーフィングというので、それがそのままこの技法の名称となってます。つまり、心理的ストレスを言語表現することは72時間以内に完了しなければならない、と。
でもこれは、自分の知っている人に出会って報告するから意味があるのです。ここは味方のいるところだ、もう安心していいのだ。そう思って身体全体が警戒態勢を解くことが出来る。見ず知らずのオジサン・オバサンに話をしても、余分な緊張を強いるだけ。やめなさい、やめなさい。むしろ、迷子の子に付き添って、その子の知り合いを捜してあげるほうが、なんぼか役に立つ。そして、そういうことなら、専門のボランティアの人のほうが動けます。心理士なんて邪魔だから、幼児的万能感に浸ってないで、大人しくしてなさい。
それと、地震津波などの天災の場合は、デブリーフィングよりも自然回復のほうが後での適応状態が良くなるという研究もあります。焦る気持ちは分かるけれど、いま出来ることは現地に行くより節電すること。
http://www.jstss.org/topic/treatment/treatment_05.html


国立精神医療研究センターからの対策マニュアルも「デブリーフィングはするな」ですね。急性ストレス反応は、正常な心理反応です。それをカウンセリングで解消してしまうと、半年後にPTSDとして反動が出ます。特に今回、家を無くし家族を亡くし故郷を無くした人たちが多くいます。仮設住宅が出来、身を落ち着けてから、その喪失感と向き合うことになるでしょう。心理士の出番があるとしたら、そのときです。今ではありません。
http://www.ncnp.go.jp/mental_info/index.html