魔法少女まどか☆マギカ


詐欺OP(笑)。しかし、やっちゃったなあ、って感じです。第10話で、歴史に残る神アニメになりました。こんなの見てたら「ロリコンか?」て思いますよね。でも、うめてんてーのキャラ・デザに惑わされてはいけません。「ホームベースの擬人化」なんて笑っておれたのは過去のこと。「魔法少女」の世界を深めてます。まあ、悪と闘うんだから、マミさんが死のうが、そのあと青が死のうが赤が死のうが、「やってくれたなあ>虚淵」で済みました。主人公のまどかが変身しない、って設定もまだ耐えました。そこあたりまでは、ついて行けた。
でも、「そうした闘い自体がムダなこと」まで描き切られると、揺さぶられます。そして、オープニングをエンディングに使う演出に至っては、人間技とは思えません。こんな可愛い歌が、絶望のように響く。この「未来の無さ」が現代の「少女たち」の状況を映し出してる。「少女たち」と言っても、それはこのアニメを見てる「少年たち」のアニマですけどね。少年の奥底に棲む魂は、世間向けの仮面を剥ぎ取られれば「女の子」の姿をしている。彼女たちはずっと闘い続けてきた。「愛のため」とか「みんなの笑顔のため」とか。その深層心理でのアニマの闘いが「魔法少女」に投影され、「少年たち」に支持されてきたわけです。ところが、セーラームーンから始まるのか、アンヌ隊員から始まるのか分かりませんが、それが全部ムダだった。そんなことをしてしまうと、これからの「魔法少女」が大変じゃないですか。虚淵、このジャンルの息の根を止めたな。

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普段はそもそもテレビなんて見ないけど。歴史の転換点に立ち会えました。


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アニメのアニマ論ではピカイチ。斎藤美奈子の博覧強記な毒舌に当てられてしまいます。ヒロイン像をナイチンゲール伝記にまで遡り、「闘う少女」がどれほどまで男どもの煩悩をくすぐる存在なのかを隈無く暴きます。ジェンダーの問題を、単純な心理学やフェミニズムに落とさない。切り口の鋭さは、この人固有のもの。