IDEA HACKS! 今日スグ役立つ仕事のコツと習慣

IDEA HACKS! 今日スグ役立つ仕事のコツと習慣
IDEA HACKS! 今日スグ役立つ仕事のコツと習慣原尻 淳一 小山 龍介

東洋経済新報社 2006-07-14
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何か新しいアイデアを産み出す参考になるかなあ、と思い、買ってはみたものの読んでなかった本。なぜ読み通せなかったかと言えば、「アイデアの産み出し方」を書こうと目指しているのに、どれもこれも「他の人のアイデア発想法の紹介」になってるからだろう。小山龍介氏の、自分の発想がどうなっているかの分析が、甘い。いくつかレベル分けして図示してはいるが、その図表に騙されている。自分の発想法の面白さに気づいてないのだろうか。
彼の「アイデア・ハック」は一つの公式で間に合う。


 E=c/f (E:効果、c:コンテンツ、f:フィールド)


イデアの効果は、既知の内容を別のフィールドに適用したときに生じる。並べられている87個のコツのうち9割方がこうした構造を持っている。外挿法。確かに通常のサラリーマンはアイデアを出そうとするとき、コンテンツをいじくり回して対処するかも知れない。小山氏のは、コンテンツはそのままに別のフィールドを導入することで「意外性」を出そうとしている。そこが面白いかも知れない。
たとえばよく見掛ける「SWOT」を、S/WとO/Tの2×2の表に書き換えているところに、それが表れる。「長所/短所」×「活かせる機会/脅威」の表。SWOTというべったりしたものを、「長所/短所」というコンテンツと「活かせる機会/脅威」というフィールドに分け直し、立体化する。確かにこれは有用なハックだ。だって「短所の活かせる機会」に注意を集中すれば、もはや「短所」ではなくなる。それは、フィールドによっては「長所」になってしまうのだから。
あるいは3B。仕事場は、意識が仕事モードになっているから、かえってアイデアは出ない。残業しても、効率が悪くなるだけ。反対に、Bus、Bath、Bedのリラックスした場所にいるとき、人間の脳は情報の整理を始め、新しい発想を産み出す。そこを捉えていく。すぐにメモに書き残す。これもまた、「自分」というコンテンツはそのままに、アイデアを出すためのフィールドを替えていく方法論である。
ところが、こうした自分の発想法自体に気づいていない。だらだらハックを並べるのではなく、本質をつかめばアピールの仕方も変わってくるだろうに。もったいない。