合気道とラグビーを貫くもの
合気道とラグビーを貫くもの 次世代の身体論 (朝日新書 64) | |
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ポイントは「松尾さんを大絶賛」かな。往年の釜石の松尾選手。カッコ良かったですよ。身体が大きいわけじゃない。なのに華麗なステップで巨漢の外人選手をかわしトライする。なぜあれほど美しいステップが踏めるのか。そうそう、ここで「なぜトライが出来るのか」という問いにしないのがこの二人のエロいとこ。成果は結果でしかない。何かをしたことの副産物が「成果」なのに、世の中その成果を真っ先に目指すような真似をするから撃沈する。成果は僥倖です。たまたまです。松尾選手はトライしようとしてるのではない。じゃあ、何をしてるか。
それが「スキャン」。フィールドを、その上空から眺めるようにイメージし、手薄なところへと身体を運ぶ能力。これもまた「離見の見」ですね。なぜスポーツがどれもイギリスの名門校を発祥としてるのか考えたら、答は分かります。「競争」ではない。「筋力」でもない。そんなの、貧乏人がすることです。イギリス貴族の「お坊ちゃまたち」ですよ。もう何もかも手に入れている。学校で学ぶべきは「集団を統率する能力」。それは「競争」では身につかない。勝ち残りのエリートでは出来ない「全体を思いやる視点構成能力」。それが「スキャン」です。
「合気道のことが書いてない」とレビューにあるけど、ずっと内田先生の持論をしゃべってて「合気道」の話しかしてないように見えるんですけどね。合気道は相手を投げ飛ばすのではなく、相手が気持ちよく投げられるように持っていく技芸である、と。それを他のスポーツや哲学に託し、メタファーにして、熱く語っている。そして平尾くんがその言葉に、あまりに気持ちよく投げ飛ばされている。そんな対談です。
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