統合失調症を持つ人への援助論

統合失調症を持つ人への援助論―人とのつながりを取り戻すために
統合失調症を持つ人への援助論―人とのつながりを取り戻すために向谷地 生良

金剛出版 2008-12-18
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「悩む力を取り戻す」「弱さの絆」「安心して絶望できる人生」。べてるの家のキャッチフレーズはどれも優しく温かい。「あなたは統合失調症です」と医師が診断を下すと、「よかった」と心から思えるのが北海道の浦河赤十字病院であり、その中心人物がソーシャルワーカーの向谷地先生である。
まず、SSTのリバーマンさんのエピソードがいいね。「SSTは、20点の人が80点になるためのツールではない。もうすでに100点だということに気づいてもらうためのものである」。すでに人として百点満点だということを忘れているから、いろいろ苦しんでしまう。今のままでいい。そういう前提でSSTを行うから、SSTは効果を発揮する。「あなたにはスキルがないからダメ」というのは「SST」じゃないよ。「ちゃんと出来てますよ」と、具体的に確認していくのがスキル・トレーニングの要点だ。
そうした本当のSSTを目指そうとするなら、いったい自分を苦しめている「それ」が何かを明らかにしていくことになる。仲間を募って「それ」を研究していく。そうした「当事者研究」という方法を見つけ出したのが偉いよなあ。光が射してる。21世紀の精神科医療が進むべき道が見えたと思う。幻聴も妄想も、「優秀な研究者たち」の手に掛かれば次々と解明されていくんだ。だって、患者さん自身がその「研究者」だからね。パターンを見つけ出して、自分自身の「それ」との付き合い方を発明する。その発明が他の「研究者」への刺激になって、誰もが統合失調症を明るく生きていく。
信じられない、って? それなら実際の「研究発表」を見ると良いよ。下のリンクをクリックしてくれ。新作の「ラブソングを歌ってくる幻聴さんとの付き合い方」なんて、読むと仲間入りしたくならない?
http://bethel-net.jp/tojisha.html