生きたことば、動くこころ

生きたことば、動くこころ――河合隼雄語録
生きたことば、動くこころ――河合隼雄語録河合 隼雄 河合 俊雄

岩波書店 2010-08-28
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河合先生が京大の事例検討会でされたコメントを集めた本。父親の言葉を切り売りする息子=俊雄先生の立場は情けないが、でもこの語録集は素晴らしい。やはり本物である。出してくれて、ありがとう。
「一番底に流れているものに乗っているかぎりは、原則を外れて会いに行ってもかまわないし、なぐってもかまわない」。そこには一般向けの講演会や教科書などでは表せない、生身の出会いが志向されている。殴ったことの自己弁護をしちゃいけないよ。「殴るべきだったから殴った」なんて自画自賛は全然クライエントに響かない。殴り損になるだけだ。ただ殴る。そこに河合先生の、なんたら派を超えた臨床家としての「激しさ」がある。まあ、心理士資格問題に手を出してから、そういう「殺気」を消されてたのが残念だな。クライエントの問題には「生きるか死ぬか」の瀬戸際がかならず隠れている。命がけで面接に来られてるんだから、そいつを見落とすなよ。